奇をてらう作品が多い中に、この漆の卓上セットは常道をいく平凡だが非凡な作品であり、 クラフトの目指す良質な生活感を提示している。 器群は、デザイン的な統一感にやや欠けるが、 各々のフォルムの不揃いさやあいまいさに味わいがある。 板膳のカーブは美しく、エッジ部分の凹みの処理など作者の配慮の跡が伺える。 しかし、器群を配置した時、もう少しゆとりが欲しかった。 使うシーンのイマジネーションが沸いてくる気持ちのよい食卓セットである。
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