2023年 陶磁器
グランプリ
自己のカケラ
陶磁
約5×5×5㎝以内
(1)〜(76):各¥4,400
田中 良和
タナカ ヨシカズ
愛知県瀬戸市
- 2006年
- 愛知県立芸術大学美術学部陶磁専攻 卒業
- 2013年
- 第1回瀬戸・藤四郎トリエンナーレ グランプリ 受賞
- 2019年
- 第25回日本陶芸展 入選
第3回瀬戸・籐四郎トリエンナーレ 審査員特別賞 受賞 - 2021年
- 国際工芸アワードとやま 入選
第9回菊池ビエンナーレ 入選 (第8回) - 現在
- 愛知県瀬戸市にて作家活動
作品について
まるで子どものように無邪気に自由に自分の感覚に素直に作ることを心掛けました。一つ一つの小さな作品は新しく作ることもありましたが、今までの制作の中で使わなくなった土や釉薬や原料を使ったり、過去の失敗作を砕いて小さくしたものに再度、色を着けたり釉薬をかけたりしました。それはせめて自分の制作の中だけでも循環したいという思いからでした。
そうやって生まれたたくさんの作品を眺めていると「自己のカケラ」のように見えてきました。
講評
ランダムな散らばりの様でありながら、実は個々の配置は⾃作の展⽰台の上で全て作者本⼈により指定されていることに驚きました。1点1点はそれぞれ異なる魅⼒を放つものの、その光は微弱であり、⼿のひらで微かに明滅する位の控えめな印象を受けます。しかし、俯瞰して全体で捉えてみると、バラバラだった個々の作品はコンステレーション(布置)的な、総体としての価値を発する存在へと⾶躍し、⼀つの⽣態系の様にも思えてきます。
多くは、余った⼟や釉薬、試作として焼いたものなど、制作における副産物を素材としているとの事。⽇々の意識的な営みからこぼれ落ちた断⽚ともいえるそれらのの無意識性を損なわずに結晶化し、更に意識を巡らせて注意深く配置して差し出す、という「意識」と「無意識」が幾重にも複層する構造は、「クラフトとはなにか」を考える上での⼿掛かりになるかもしれません。
(小林和人)