2023年 その他
個人的な視点賞(寺山紀彦賞)
革の敷物
河内尚子
神戸芸術工科大学環境デザイン学科卒業
妹島和世建築設計事務所勤務を経て、2021年NAOKO KAWACHI設立
物を通して空間をつくることをテーマに、素材と向き合った建築的な作品を制作
作品について
建築と家具の間のような存在を目指した敷物。牛の皮を選定し、鞣す工程からデザインを行なった。経年変化を楽しめる素仕上げとし、動物が本来持つシワや膨らみなどの痕跡は残した。一頭分の丸革を、少しオーバーラインした矩形で整え、くびれた部分は、自らの端材で埋め合わせる。個体差による意図しない模様が、美しい抽象画のように現れる。自然の循環からいただいた革と、それを使う人とが、共に長く時を刻んでいくことを考えた。
講評
2m×2mの大きな正方形の牛革は、その大きさと最小限の素材と加工を施して作られているからなのか、静かな力強さを持っています。形状はシンプルですが、素材の持つ力をデザインで一段階押し上げて出来上がった作品だなと感じました。空間にこの革が敷いてあると心地よい緊張感が生まれそうです。
(寺山紀彦)