日本の発展を考えて生まれた、壮大な構想。

高峰譲吉は、急流である黒部川の電源開発に着目していました。
譲吉は当初、高岡の鋳造技術と、神通川(のち断念)の発電能力を組み合わせれば、電力を大量に必要とするアルミニウム工業が必ず発展すると考えていたのです。
1918年には黒部川の水利権を申請し、1919年、東洋アルミナム株式会社を設立しました。譲吉は、東京大学土木工学科出身で逓信省の技師であった山田ゆたかを引き抜き、現地調査に向かわせました。山田は、黒部川が急流で水量が豊かであり、水力発電に最適だと確認しました。
さらに、黒薙くろなぎに温泉が湧いていることを知り、宇奈月まで引いてくれば温泉地として発展させられると考えます。1921年、東洋アルミナムは、黒部鉄道株式会社を設立し、1922年には、黒部温泉会社も発足させます。
しかし、第一次世界大戦後の不況のなか、1922年7月に譲吉が亡くなると電源開発事業は縮小してしまいます。東洋アルミナムは、アルミ製造事業を断念し、黒部水力株式会社と改称。代表を務めていた塩原又策は、会社の全株式を日本電力に譲渡しました。
譲吉の壮大な夢は、彼の死とともに日本電力へと引き継がれ、やがて富山県のアルミ産業の発展へとつながっていきました。

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高峰譲吉博士関連施設

関西電力
「黒部川電気記念館」

黒部川電源開発の歴史や水力発電所を紹介する記念館。
黒部川の電源開発は、高峰博士による「東洋アルミナム(株)」設立から始まりました。

黒部市黒部峡谷口11
TEL:0765-62-1334
開館時間/夏期(4/18~11/30)7: 30~18: 00
     冬期(12/1~4/17)9: 00~16: 00
休館日/冬期の火曜
入館料/無料

高岡市立博物館

博物館常設展内の高峰譲吉コーナーでは、タカヂアスターゼ・アドレナリンをはじめ、高峰公園にある譲吉胸像の石膏原型、メガネ・ルーぺなどの愛用品などを展示しています。滝 富夫氏から高岡市教育委員会に寄贈された資料を公開するため、2022年7月30日に『高峰譲吉別荘「松楓殿」関係資料展示室』をオープンしました(常設展示)。

高岡市古城1-5
TEL:0766-20-1572
開館時間/9:00~17:00
休館日/月曜(祝日は開館し翌平日)
入館料/無料

黒部峡谷鉄道 宇奈月駅
2階 歴史探勝コーナー

高峰博士をはじめ、黒部の電源開発や地域発展に尽くした先人達の功績をたたえ、その試みの一端を紹介しています。

黒部市黒部峡谷口11
TEL:0765-62-1014
休館日/12/1~4/19
入館料/無料