「商工とやま」H17年4月号
特別寄稿 富山の観光セールス始まる
富山市商工労働部観光振興課 課長 西 森 修 一 観光は交流人口を増大させ、他産業の振興を牽引する21世紀のリーディング産業の一つとして期待されており、観光がもたらす消費などの経済波及効果は観光産業のみならず、あらゆる産業にまで及ぶため地域の活性化にも大きく貢献します。また、海外からの観光客の誘致は、地域の国際化にもつながります。 こうしたことから、富山市は、所得水準の向上により、海外旅行熱が高まってきている韓国からの観光客誘致を積極的に図っていくため、去る2月10日から13日まで、森雅志市長を団長とする韓国市場調査訪問団を派遣して、市場調査と富山市の魅力のPRを行いました。 同行した富山市観光振興課の西森修一課長にその成果を報告していただきました。 はじめに 富山市では、市の観光資源の特徴である自然景観をはじめ、歴史文化資源や各種の観光施設、水辺に関連する観光資源、300年の歴史と伝統を誇る薬関連の観光資源、ガラス工房を中心としたガラス関連施設のほか、四季を通じて開催されているまつり・イベントや海・山で採れる豊富で新鮮な食材、ます寿し等の特産品を大都市圏を中心にPRに努めていところであります。 また、4月の合併により新たにスキー場や温泉、ゴルフ場、地域の伝統が育んだまつり・イベント等の豊富な観光資源が加わることから、今後は一体的なPR等により観光客誘致活動をより積極的に取り組むことが必要と考えております。 ○「ビジット・ジャパン・キャンペーン」で観光客誘致 日本人の海外旅行者は約1,600万人であるのに対し、日本を訪れる外国人旅行者はその3分の1以下の524万人(平成14年)です。国では、この格差を出来る限り早期に是正するため、平成15年度より「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を実施しており、政府及び自治体、民間企業が一体となって外国人旅行者の訪日を促進し5年後の2010年には外国人観光客を1000万人にする目標を掲げています。また、キャンペーンでは観光客誘致の重点市場として「アメリカ」「中国」「台湾」「韓国」「香港」「イギリス」「フランス」「ドイツ」の8ヶ国を設定しており、平成17年度には「オーストラリア」「カナダ」「シンガポール」「タイ」を加え12ヶ国になる予定です。 このような国の動きを踏まえ、市も外国人観光客の誘致に積極的に取り組んでいきたいと考えています。 ○富山市は韓国を重点市場に 市では空の玄関口である富山空港が、国内主要都市と結ばれているとともに、東アジア地域とも定期便3路線(ソウル・大連・ウラジオストク)を結んでおり交流が盛んなことや、市周辺の自然環境、ゴルフ、スキー、温泉等の観光資源が、韓国を中心としたアジアからの外国人観光客の求めるニーズに合致していることから、週3便就航している「韓国」を重点市場と設定し、外国人観光客の誘致に取り組むため今回の市場調査を行いました。 ○富山の魅力をアピール 市場調査訪問団は2月10日から4日間の日程でソウル市を訪れ、旅行エージェントや政府機関、報道機関、韓国の山岳連盟の方々と意見交換を行うとともに、PRビデオやパンフレットにより富山の魅力をアピールし、富山への観光客を増やすための商品開発や、コンベンション開催の誘致を積極的に依頼いたしました。 これらの意見交換で寄せられた意見・要望としては、 ○外国への観光旅行は増加中 韓国人の外国旅行の動向については、全体の観光客数を比較した場合、2・3倍に増えており、各国で比較しても軒並み2倍増となっています(図1参照)。 また、2003年の訪日者の目的としては観光客が62・9%、商用客が25・2%、その他11・9%と、圧倒的に観光客が多くなっています。 ○期待できる訪日旅行 韓国では2004年7月から企業規模により段階的に週休二日制が施行されたことにより週末を利用した海外旅行のニーズが高まっています。 特に日本、中国などの近距離海外旅行が増加傾向にあります。また、2003年3月から修学旅行生に対するビザ免除が実施されており、訪日修学旅行の伸びが期待できます。 2005年は日韓国交正常化40周年にあたり日韓で様々な交流事業が予定されており、中でも愛知万博の開催や、中部国際空港の開港により交流が一層盛り上がることが期待されます。今後、日韓の交流は益々盛んになることでしょう。 ○市民のホスピタリティが大切 今回の市場調査では、本市及び周辺地域の観光資源が韓国人のニーズとマッチしていることや、訪日旅行者が増加する要素があることを確認できました。しかし、他方では富山の知名度はまだまだ低く、知名度を上げるためのプロモーションが更に必要なことや、受入れ態勢の一層の充実が必要であることなど課題も浮き彫りになりました。 今後国際会議観光都市として国内外の観光客の方々に市民一人ひとりがホスピタリティを持って接することが富山の観光の原点でもありますので皆様方のご協力をよろしくお願いします。 参考文献「独立法人 国際観光振興機構」発行「マーケティング・マニュアル」 |