「商工とやま」平成20年5月号

調査レポート
 団塊世代の消費動向調査結果

団塊世代の約6割は定年後も同じ会社での勤務を希望
仕事と趣味、消費と貯蓄でバランスを重視

 第2次世界大戦後の昭和22年から同24年まで3年間の出生数は約800万人に上り、団塊世代といわれる。この内約500万人が平成19年から一斉に定年退職期を迎えることから、労働力人口の急激な減少、企業内での技能継承、地域社会のあり方など社会的な影響があるほか、総額30兆円ともいわれる退職金の行方やその後の消費行動の変化など様々な点で注目を集めている。

 本調査は、今後の社会動向、消費者支出に大きな影響を与えるとされる団塊世代を対象に、定年後の暮らしとその消費活動を探るとともに富山市内や金沢市での消費の現状を把握することを目的に実施した。

▼調査実施時期 平成20年1月
▼調査方法 当所の会員企業及び主要官公署等の中から124事業所を抽出。調査票を郵送で配付、回収した。
▼有効回答数 630人(回収率64・5%)


≪定年後の暮らし≫

○定年後の働き方

 定年後にどのような働き方(所属する会社、働く時間など)を希望するかを尋ねたところ『同じ会社でフルタイム働く』が31・9%で最も多く、『同じ会社で時間にゆとりをもって働く』が26・7%でこれに続き、合わせて約6割が定年後も同じ会社での勤務を希望している。『働かない』が11・0%あったものの、異業種での勤務は8・1%、起業希望も0・8%と少なく、慣れた環境・職種での継続勤務を望む声が大半だった。


○定年後にやりたいこと

 定年後にやりたいと考えていることについて、「仕事」、「趣味」、「ボランティア」の3つに大きく分けて、それらの組み合わせを尋ねたところ、『仕事と趣味』が56・2%で最も多く、次いで『仕事、趣味、ボランティア』が14・9%であった。『趣味のみ』『仕事のみ』はそれぞれ9・0%、4・4%に止まった。仕事と趣味を軸にバランスのとれた生活を望んでいることが垣間見える。


○消費と貯蓄・投資について

 消費と貯蓄・投資についてどのように考えるかについて、現在と定年後に分けて聞いたところ、『消費と貯蓄のバランスをとる』とする回答が現在42・4%、定年後63・0%と共に最多であった。『貯蓄・投資重視』は、現在の27・8%から定年後は7・0%と20・8ポイント減少している。


○定年後の収入源

 定年後の収入源として考える項目を3つまで挙げてもらったところ、やはり『年金』が一番多く608人と96・5%があげている。これに続くのが『自分の給与』402人、『預貯金の取り崩し』385人、『配偶者の給与』140人などとなっており、『株などの運用収入』、『不動産収入』はそれぞれ38人、13人と少数派であった。



≪消費行動≫

○商品別の購入場所

 商品別に、最もよく利用する小売店の場所または購入方法について尋ねたところ、「食料品(生鮮、一般とも)」、「家具」では『自宅や勤務先の近辺』が過半数を占めた。「衣料品(コートなど、日用品とも)」、「靴バッグ」、「家電製品」、「時計メガネ」、「家族での外食」は『旧富山市のショッピングセンターや大型店』が最も多かった。『富山市中心市街地』が多かったのは「贈答品」、「宝飾・アクセサリー」で、特に「贈答品」は43・5%に達した。「職場・知人等での懇親会」では『富山駅周辺』が37・1%で最多であった。


○総曲輪フェリオの影響

 通勤以外で富山市中心街と富山駅周辺を訪れる頻度を、昨年9月総曲輪フェリオのオープン前後で尋ねたところ、駅周辺では、9月の前後とも『半年に1回程度』が最も多く、『全く行かない』がこれに次ぎ、9月の前後であまり差は見られない。これに対して中心市街地では、9月以前では『全く行かない』が37・5%で最多だったが、9月以降は『1ヵ月に1回程度』、『毎月2〜3回以上』がそれぞれ6・3、3・9ポイント増えた一方、『全く行かない』は7・0ポイント減少した。そして、4人に1人が中心市街地へ行く頻度が上がったとしている。


○金沢へ出かける頻度

 最近1年間で買い物を目的としてどの程度の頻度で金沢市(中心街・駅周辺)へ出かけたかを尋ねたところ、約7割が『全く行っていない』と回答。『年に1回程度』も12・5%であり、年に2回以上出かけたのは16・7%に止まる。


◆本調査についてのお問い合わせ先 当所情報課 TEL:076-423-1175


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