観光の新しい切り口「産業観光」の推進を目的に、全国産業観光フォーラム in とやま2008(主催:同実行委員会、当所ほか)が、9月25日(木)に富山国際会議場で開催された。
このフォーラムは、(社)日本観光協会が全国各地の自治体や商工会議所などと連携し毎年開催しているもので、平成13年の名古屋を皮切りに、浜松、鹿児島、札幌、八戸、北九州、昨年の会津若松と続き、富山での開催は8回目。
当日は全国から観光・行政関係者約500名が参加し、「『富山のくすり』が育んだ産業の富の山」をテーマに、基調講演や分科会を通して、産業観光を活かした地域活性化策等について意見交換した。
開会式では、中村徹(社)日本観光協会会長(全国産業観光推進協議会会長)が主催者を代表して挨拶し、来賓の水嶋智国土交通省総合政策局観光資源課長、城福健陽経済産業省商務情報政策局参事官から祝辞が述べられた。開催地からは、石井隆一富山県知事、森雅志富山市長、犬島伸一郎当所会頭(当フォーラム実行委員長)が来県した参加者を歓迎し、挨拶した。
引き続き、(社)日本観光協会・全国産業観光推進協議会による第2回産業観光まちづくり大賞の表彰式が行われ、受賞4団体に賞状と記念品が贈られた。
基調講演では、米原寛富山県〔立山博物館〕館長が「富山・売薬のこころ」と題し、富山の地理的・歴史的背景がもたらした県民性が売薬業を発展させ、その売薬資本が金融や電源開発など富山の産業の礎を築いたことを説明した。
講演後の分科会は3つの会場に分かれ、「産業発展の歴史を活かす産業観光」、「産業観光とインバウンド観光」、「産業観光と着地型ツーリズムの手法」をテーマに、それぞれパネリストの体験や成功事例を交えながら、産業観光の拡大に向けた課題や今後の取り組みについて議論した。各コーディネーターは、討議内容を分科会報告会で発表した。
最後に、須田寛全国産業観光推進協議会副会長が次のように総括を述べ、フォーラムを締めくくった。
○身近なところを見回し、資源を発掘することが産業観光のスタートライン。そして、産業観光の特色や役割を理解した上でいろいろなアクションを進めることが重要である。
○産業観光は、企業同士、企業と地域、観光の従事者間や販売・流通にいたるまでのネットワークなど、幅広い連携で生まれ、そのためには情報共有が大切である。
○人間的な心のもてなしも必要で、文化・技術・芸術等によるもてなしが合わされば一つの観光資源との幅広い捉え方もできる。
○多くの人々が連携し、もてなしの心で進めるわけだが、それぞれが一緒になって働くことにより産業観光は成り立つ。
○産業観光においては「連携」、「協働」、「もてなし」がキーワードと言える。
このあと、ANAクラウンプラザホテル富山で交流会を開き、富山の食材や地酒、富山北声民謡会の「越中おわら踊り」等でもてなした。次回開催地が発表され、群馬県富岡市の関係者が地元をPRし、参加を呼びかけた。
翌日26日(金)のエクスカーションには、約100名の参加者が、「薬都とやま」の歴史探訪(富山市内)、水の恵と治水の旅(立山周辺)、現代とやまを象徴する産業の旅(県東部)、伝統産業を巡る旅(県西部)等のコースに分かれて県内の産業観光施設を巡った。