地域防災力の要は「消防団」
消防団は、消防局(消防本部)・消防署と同様に市町村の消防機関の1つです。消防職員が常勤の地方公務員であるのに対し、消防団員は非常勤特別職の地方公務員として普段は生業を持ちながら「自らの地域は自らで守る」という精神に基づいて活動し、ボランティアとしての性格も併せ持ちます。
消防団員は、日頃から消防・防災に関する知識や技術を習得し、一般に地域の住民で地元の事情に通じていることから、非常時には即時に対応できる重要な存在として期待されています。火災の鎮圧はもとより地震や風水害等の大規模災害時の救助・救出、避難誘導、警戒巡視、避難誘導、災害防ぎょ活動等、地域住民の生命や財産を守るために活躍しています。平常時には各種訓練、防火指導、特別警戒、広報等の活動を行っており、消防団は地域における消防力・防災力の要と言えます。
富山市消防団には2,525人(平成20年4月1日現在)の団員がいます。うち110人は女性で、ひとり暮らし高齢者宅への防火訪問や応急手当の普及指導等、女性ならではの優しさやきめ細かな配慮を生かし活躍しています。
団員数の減少という問題
しかしながら、産業・就業構造の変化等に伴い、昭和20年代には全国で200万人いた消防団員数が90万人を割り込むまでに減少し、地域防災力の低下が憂慮されています。また、被雇用者(会社員)の割合が年々高くなっており、現在では約7割に達していることから、地域防災力を維持・向上するためには、事業所の理解と協力が欠かせない状況になってきました。
事業所の協力を促す
「消防団協力事業所表示制度」
このため、消防庁は消防団員確保の推進に取り組む中で、平成19年1月に「消防団協力事業所表示制度」を導入しました。
これは、勤務時間中の消防団活動への便宜や従業員の入団促進等、事業所が行う協力を社会貢献活動として認めようというものです。事業所の理解と協力が得られれば、従業員も安心して消防団活動に取り組むことができ、参加して得られる知識や技術は事業所の防災体制の向上に、ひいては地域防災体制の一層の充実につながります。
当所としても、会員事業所の皆さんに是非おすすめしたい制度です。
富山市では106社が認定
イメージアップを図る
富山市消防局では、この表示制度を平成20年10月からスタートし、現在106社(平成21年2月1日現在)が認定を受けています(資料3)。認定を受けた事業所には「消防団協力事業所表示証」が交付されますので、事業所内やホームページ、パンフレット、チラシ等に掲示すれば、地域を守る信頼の企業としてイメージアップを図ることができます。なお、この認定を受けると、富山県や富山市の入札参加資格審査で加点されるメリットもあります。
申請は事業所の所在地を管轄する消防署で随時受付けており、協力内容が認定基準(資料4)に適合すれば認定されます。有効期間は認定日から2年(又は認定の取消し日まで)で、協力内容を確認した上で更新することができます。
富山市消防団協力事業所表示制度の「実施要綱」及び「申請書」は、富山市消防局のホームページ(http://www.toyamafire‐dept.jp)でダウンロードすることができます。お問い合わせ先は、同総務課TEL:076-493-4141です。
事業所も地域の一員として
安全・安心な地域づくりを
社会貢献活動というと、会員事業所の皆さんは日頃さまざまな分野・内容に取り組んでいらっしゃることと思いますが、事業所も地域の一員として、この表示制度をきっかけに、より安全・安心な地域づくりのためにできることから始めてみてはいかがでしょうか。
(本記事は、消防庁、富山市消防局のホームページを参考に作成したものです)