会報「商工とやま」平成24年5月号  【 誌 上 セ ミ ナー 】

電話応対の第一声を大切にして、企業イメージをアップ!


 「電話」は気軽なメディアとして、距離・時間を感じることなく相手との情報交換が可能なことから重宝に活用されています。プライベートならともかく、ビジネス電話となると、当たり前のように行っている「電話応対」も応対者のあり方次第で、組織(企業)の印象度・評価はかなり違ってきます。「電話応対」に対する認識を新たにし、自身のレベルアップ・企業のイメージアップに繋げましょう。電話応対力とは、すなわち人間力です。


ビジネス電話会話(応対)の特徴を認識していますか?


 電話応対は普通の接遇応対とは違います。その違いを理解しましょう。

≪電話応対「5つの特徴」≫
(1)相手が見えない
 表情・状況を見ることができない。

(2)声・言葉が頼り
 耳だけで聞きとることになるので、正確に、好印象に伝える工夫が必要。(発音・速度・表現・ニュアンス等)

(3)1対1の会話
 多数の人と同時に会話はできない。だからこそ、他の仕事をしながらではなく、誠実・真剣に応対することが大切。

(4)記録が残らない
 内容を間違いのないようにするため、メモ・確認は重要。

(5)費用がかかる
 ビジネスではコスト意識を持つことは当然。時間をかけないように簡潔・論理的に話す(直接かかる料金)。無駄に時間がかかれば、自分も相手も拘束されることになり、ロスタイムが出てくる( 間接的に人件費の無駄づかい)。


電話応対は第一声で決まる


 「はい、○○○会社□□です。(ございます)」と、インバウンド(電話受ける)の第一声で、皆さんはこの言葉をおっしゃっています。

 しかし、ただ言っているだけではいけません。この言葉には、『お電話をいただきありがとうございます。あなたがおかけになったのは、確かに○○会社でございます。お受けしましたのは、私□□でございます』という感謝と、ご用件を承る誠実な姿勢が含まれているのです。

 アウトバウンド(電話をかける)でも第一声を大切にしましょう。


≪こんなこと、ありませんか?≫

 もしかしたら、こんな経験はありませんか? 例えば…

  ・ちゃんと会社名を言っているのに聞き返されてしまった。
  ・慌てて出たら「お忙しいところ申し訳ありません」と、気を遣わせてしまった。

 そんなときは、自分の応対を振り返ってみましょう。
 こんなこと、ありませんか?

(1)ただ言っているだけ
 慣れから来ているのかもしれませんが、第一声が聞き取ってもらえなければ、その意味がありません。

(2)暗い、事務的
 プライベートな電話ではありません。組織のイメージがかかっています。

 明るく・爽やかに、間を取って、明瞭な発音を心掛けましょう。


ビジネス電話応対4つの心得


 ビジネスの場では何事もきちんと行うのが基本です(信頼性)。そのため、見えない相手との応対には次の4要素が特に求められます。

 気遣い・配慮・先読みをしながら、常にこれらを頭に入れて応対するように心掛けましょう。


≪ビジネス電話応対 4つの心得≫
【 基本1「迅速」 】
 ビジネスの場面では、「お客さまをお待たせしない」のが鉄則。相手の思いを理解しなければ行動はできません。あせりは禁物。ビジネス電話では「少々お待ち下さい」と言ったときの目安は30秒と考えてください。

【 基本2「正確」 】
 見えない相手との意思疎通は繰り返しとメモが肝心です(記憶より記録)。「紛らわしい言葉」、「聞き取りにくい数字」には特に注意が必要です。

 例えば、A担当者が「5月8日納入でお願いします」と言い、受け手のB担当者が「はい、5月10日納入ですね」と答えた場合です。B担当者は繰り返して確認しているのですが、「8日(ヨーカ)」と「10日(トーカ)」の発音が不明瞭なため互いに聞き違え、トラブルになります。

 こういった場合は、曜日も加えて確認しましょう。「はい、5月10日木曜日の納入ですね」。そうすれば、「いいえ、8日は火曜日ですよ」と間違いが分かり、トラブルを防ぐことができるでしょう。他にもちょっとした工夫がトラブルを未然に防いでくれます。

【 基本3「簡潔」 】
 簡潔に話すことは、相手に内容が的確に伝わり、自分が属している組織の能力の高さを感じさせます。

 例えば、「確認したいことは3点ございます。1点目は…。2点目は…」のように、最初に結論を伝える工夫をすると、相手が理解しやすくなります。

【 基本4「丁寧」 】
 話し言葉、表現(トーン)なども大切です。顔の見えない相手への柔らかな人あたりのトーンが決め手。普段から寛容な心、穏やかな話し方を身につけておきましょう。


電話応対での言葉遣い


 日頃、電話をおかけして感じることがあります。名指しした方が外出されていた、あるいは席にいらっしゃらない場合の応対です。

     A「○○は席をはずして(外出して)おりますが…」

     B「あいにくですが(申し訳ありません)、○○はただ今席をはずして(外出して)おります。いかがいたしましょうか

 よく、Aの場合が多くありますが、Bの場合と比べると、相手の感じ方はどう違うでしょうか。

 Bの、「あいにくですが(申し訳ありません)」はクッション言葉で、折角かけてくださったのに恐縮ですという気持ち。「いかがいたしましょうか」は、Aのように「…」で言葉を終らず、「どのようにいたしましょう?」と相手を優先した形で今後の対応を確認する言葉が含まれています。

 この一言をプラスすることが、企業の風土・イメージを好印象にするのです。慣れから来ているのかもしれませんが、電話での会話は、敬語遣いがしっかりしていればよいというものではありません。相手の立場に立つこと、そして次にはどうしたらよいのかを考えながら言葉を選びましょう。


電話応対能力をチェックするには


 以前に研修に伺ったある企業では、電話応対にとても興味深く、熱心に取り組んでくださいました。こちらからお勧めしたことではあるのですが、社内でリーダーを決めて電話応対の強化に取り組み、社内コンクールを開催されました。

 その上位3名の皆さんには、(財)日本電信電話ユーザ協会が主催する「電話応対コンクール富山大会」にトライしていただきました。初めての試みであったにもかかわらず5位に入賞、2名は10位内という好結果でした。相対的に評価されるということは、ご本人にとっても、企業にとってもとても嬉しいことですね。

 電話応対コンクールの他には、「もしもし検定」が実施されています。自己啓発として受験するのも良いのではないでしょうか。


新入社員の皆さんへ


 「電話に出るのが怖い」と思っていませんか?

 ある企業では、電話応対は1年間、主に新入社員が出る、と決められています。これには次のような利点があるからです。

(1)電話に出ることで自社の取引先が分かる。
(2)見えない相手を理解するための気遣い・配慮すること、工夫することを覚える。

 新入社員らしく誠意を持って対応すれば、伝わることがたくさんあります。ポジティブな捉え方で実践して下さい。社(組織)の見えない顔! になれるかもしれませんよ。



●筆者紹介
  I.S.K有限会社 代表取締役(社)ヒューマンパワーアカデミー 代表理事 市井 啓子氏


元富山テレビ放送株式会社アナウンサー。フリーアナウンサー活動をするとともに後進指導、各種コーディナーター、人材育成分野で研修講師(国・県・市町村職員、一般企業社員等)・講演講師を務める。キャリアコンサルタント、テレコミュニケーションインストラクター、秘書教育認定者。生涯学習インストラクター。 ▼URLはこちら

●もしもし検定  平成24年度検定実施日 【富山県内】
  1級 10/3(水)13:00〜
  2級 8/1(水)13:00〜
  3級 7/4(水)、11/4(水)13:00〜

■お問い合わせ先 (財)日本電信電話ユーザ協会富山支部  TEL:076-445-9660  ▼URLはこちら



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