たべキリンをキャラクターに
富山市内のレストランや飲食店の店頭で、「たべキリン」のかわいらしいキャラクターがレイアウトされたポスターやチラシをご覧になったことがある方も多いのではないでしょうか。
まもなく忘年会シーズンを迎え、外食の機会も多くなる時期ですが、みなさんも、宴会やパーティーなどでの食べ残しの多さに日頃から疑問を感じていませんか。
富山市消費生活センターでは、家庭や外食時での食べ残しを減らし、おいしい富山の食材を食べきることを目的とした「おいしいとやま食べきり運動」を展開しています。今回はこの取り組みについて、富山市消費生活センターの川波所長と同センター主査の五十嵐さんにお話を伺いました。
家庭や地域、職場など、身近な場面で、一人ひとりが取り組んでいけることについて改めて考えてみたいと思います。
大量の食品廃棄という問題
日本では年間約1900万トンの食品廃棄物が排出されていると言われています。この中には、本来食べられるにもかかわらず捨てられているもの、いわゆる「食品ロス」が約500〜900トン含まれると推計されています。川波所長は次のように語ります。
「日本の食料自給率は約40%で、主要先進国の中で最低水準。多くの食料を海外からの輸入に頼っています。しかし、その一方で、膨大な量の食品が廃棄されている現実があるのです。みなさんのライフスタイルや意識を少し変えていただこうというのが、この運動の趣旨なんですよ」
かつては宴会や外食などで残った食べ物は、もったいないという意識から、それを家庭に持ち帰るということがあたりまえでした。しかし、飽食の時代になり、食べ物を捨てるともったいないといった意識が私たちから薄れてきているのも確かです。まずは一人ひとりができることから始めて、食料の無駄を減らすアクションを起していきたいものです。
協力店を募集中
平成21年の12月から富山市でスタートしたこの食べきり運動は、市内の飲食店や企業などへも徐々に広がっています。
「この運動にご賛同いただき、何かひとつでも食べ残しを減らす取り組みを行っていただいている協力店は現在約720カ所あります。例えば、ポスターやPOPの掲出のほか、小盛りメニューを作ったり、お客様にご飯や料理の量を尋ねたり、食べきれなかった料理を持ち帰ってもらうなど、お店によって取り組み方はさまざまです。ビアホールなどでは、食べきるとお一人ずつ500円をキャッシュバックすると言う取り組みをされたところもあるんですよ」と話す川波所長。
富山市消費生活センターでは、協力店を現在も募集中で、協力店になるとホームページ(tabekiri.jp)などで順次紹介しています。
「お店や企業では社会貢献的活動として、またゴミを減らすという環境活動の一環として取り組むことにも意義があるのではないでしょうか」と川波所長は期待を込めます。
こども環境白書にも掲載
食べきり運動実行チームでは、子どもの頃からの食習慣が大切ということで市内の幼稚園や保育園、小学校などにも働きかけてきました。給食も、無理なく一人ひとりに合った量を配膳するようにしたり、嫌いなものは少なめにするなど給食の食べ残しを減らす様々な工夫がされています。幼稚園や保育園では、たべキリンのシールを目標にして、一週間給食を残さないように頑張る取り組みが行われています。
「幼稚園や保育園でのシールを使った取り組みは、子どもたちにとても人気があるんですよ。市内の約半分の幼稚園や保育園から要望があり、今年度も約6万枚を配布しました。給食を一週間食べきったらシールを連絡帳に貼るなど、子どもたちは楽しみながら取り組んでいるようです」と五十嵐主査もその人気ぶりに驚くほどです。
また、呉羽小学校ではたべキリンのパペットを使って子どもたち自身が給食を食べきる呼びかけを行っていました。この活動は「富山発食べきり運動」として「2012こども環境白書」にも掲載されました。
富山市消費生活センターでは、この運動についての出前講座も実施しています(10名以上の団体で申し込みが可能)。
これからの忘年会シーズンに向けて、改めて食べものの大切さをみんなで考え、食べ残しを減らすよう、意識して取り組んでみませんか。
●富山市消費生活センター 富山市新桜町7-38(富山市役所内)
TEL:076-443-2123