明治11年創業の國民製薬株式会社は、売薬さんとともに成長してきた歴史ある会社で、医薬品・医薬部外品・健康食品の製造・卸売を手掛けています。代表取締役社長の森敦史さんにお話を伺いました。
家庭配置薬販売業者による合同会社
國民製薬株式会社は、明治11年に中川久正さんを代表としてできた「精寿堂」が前身です。後に法人組織に改組し、株式会社富山精寿堂になりました。
昭和16年、国策で企業の整理統合があり、株式会社富山精寿堂を中心として約380の家庭配置薬販売業者(売薬さん)が合同して設立した新会社が國民製薬株式会社です。社名には、和漢薬を通じて国民の健康に寄与したいという思いが込められています。
森敦史さんは初代・中川さんから数えて24代目の社長に当たります。「色々な会社が合併していることもあって、仕入量が多いほど発言権が強く、それで単年度ごとに社長が代わった時代があったのです。同25年1月に私の祖父・吉次郎が21代目の社長になり、以降は森家が受け継いできました」と森社長は語ります。
同42年7月、祖父の後を引き継いだのは父・茂さんです。ところが同63年に茂さんが急逝したため母・公子さんが社長となって会社を守ってきました。
「平成14年5月、ある日突然、母から『今日で社長を交代する』と言われましてね。『私も右も左も分からずに、いろいろなことを自分で考えて学んで今日に至ったんだから、あなたもそうしなさい』と、本当に翌日から出社しなくなったんです。私は平成3年に入社してから約10年間、確かに横で母を見てきましたし、分かってはいたのですが、資金繰り一つとっても実際にやってみるのとでは全く違って本当に大変でしたね」
配置薬で育ててもらった会社
森社長は戸惑いながらも、新しいことが自分の判断でできると思うと、試行錯誤しながらも新しいパッケージの製作や新しい販路の開拓などに精力的に取り組みます。
「薬局やドラッグストア、訪問販売、通信販売、ネット販売などいろいろな業界に飛び込んでみました。でも、とどのつまりが家庭配置薬販売業界へ戻ってきたんです。売薬さんを通じて、お客様に納得して商品を使ってもらい、喜んで、感謝していただける。そして商品の効果も聞かせていただける。こんな製造業冥利に尽きる業界はないと感じたのです」
同社は精寿堂時代から売薬さん向けの配置薬を主に扱っており、時代が変わっても、配置薬で育ててもらった会社として基本的な商品を絶やさないよう大切にしています。
原料から手掛ける強み
國民製薬は関連会社に富山県生薬有限会社(富山市緑町)、オホーツク薬草協同組合(北海道)を持ち、原料となる薬草の生産・加工、医薬品等の製造まで自らが携わることができる、県内では特異なメーカーです。
「北前船の前身とも言われていますが、富山の売薬さんは北海道へ行って薬用植物を広めていました。祖父もよく網走へ行っており、私は同行して配置薬を販売したり、薬草を収穫する時期に住み込みで手伝ったりしたことがありますが、経営者の陣頭指揮の大切さを身をもって感じたものです。
訓子府町にあるオホーツク薬草協同組合ではホッカイトウキ、ホッカイセンキュウ、カノコソウなどの生薬を一手に生産しています。その土地で栽培することで生じる薬効成分があったりしますので、私どもは特に北海道の生産者さんに恵まれて今日に至っています。
薬事法において、薬用植物は私どもの倉庫に入るまでは農産物扱いなんです。倉庫に入って試験に合格した段階で初めて生薬原料に変わる。つまり、私どもが全ての医薬品原料のスタートラインなんです。法律上は会社を分けていますが、原料から扱うメーカーであることは私どもの特徴であり、強みです」
原料から関わっているからこそ自信が持てる商品作りができ、また、コストを押さえてより良い商品を提供できるのです。
強みを活かし、オリジナル商品の開発を支援
「売薬さんの先用後利というビジネスモデルは代々受け継がれるべき良い商売だと思います。商材が充分にあって、お客様から逆指名がある。ただ待っているわけじゃなくて、攻めにいく強い商売です。売薬さんと私どもメーカーは車の両輪でやってきたし、これからもそうでありたいと思っています。
その一つの取り組みとして、売薬さん等が消費者ニーズを反映し、最小限の投資でオリジナル商品を開発できる「QR(クイックレスポンス)サプリメント」をご提案しています。これは私どもの強みを活かし、200〜300の小ロットでオリジナルのサプリメントをつくるお手伝いをするものです。例えば美容、メタボリック、食物繊維、アミノ酸、関節痛対策、滋養強壮用など、実際に消費者と接しておられる売薬さん等だからこそ、喜ばれる商品ができると思います」
錠剤、カプセル、ゼリー、ドリンクなど形態により最低ロットは異なりますが、先行投資が少なく、在庫を抱える心配もなく、商品のリニューアルにも対応しやすいなどのメリットがあります。パッケージについても國民製薬で印刷設備を持っており、デザインは専門会社と提携しています。原料、処方、調剤、パッケージ、宣伝に至るまでトータルでサポートしています。
「消費者、売薬さんを含む販売業者、私どもが互いにWin‐Winの関係を築いていけたらいいなと思います」
口に入るものだからこそ
昨今は自ら商品に触れることなくインターネットで商売ができます。机上でページを作って販売し、売れた分だけ発注して直送する仕組みは確かに便利でメリットがたくさんあります。
「私どもの商売はお客様のお顔を拝見して成り立っています。まして口に入れるものですから、利便性だけを追い求めてはいけません。品質管理を徹底し、安全、安心な動植物生薬原料を加工・製造して、自信をもって商品を提供し、お客様に喜んでいただくことに努める。それに尽きますね」と森社長は力を込めます。
単なる物売りになるのではなく、お客様の笑顔を共通認識として、今後もさまざまなビジネスパートナーとの連携により健康を提案し続ける國民製薬。皆さんのお宅の薬箱を開けば、その思いを感じていただけるかもしれません。
國民製薬株式会社
本社/富山市緑町2-4-4
富山西事業所/富山市有沢新町2
TEL:0120-21-4032
http://www.kanpou.co.jp
●取扱品目
医薬品・医薬部外品・健康食品
●主な社歴
明治11年 中川久正氏を代表として精寿堂を創業(富山市山王町)後に、株式会社富山精寿堂に改組
昭和16年 國民製薬株式会社設立
昭和32年 富山市緑町へ本社移転
●関連会社
富山県生薬有限会社(富山市緑町)
オホーツク薬草協同組合(北海道常呂郡訓子府町)
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〒930-0083 富山市総曲輪2-1-3
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※当所ホームページに
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◆締切 平成25年1月25日(金)必着