当所は今年度、富山県が実施する「県内企業人材養成モデル推進事業」を受託。この事業では、平成22・23年度に同じく富山県が実施した「県内企業人材養成モデル開発事業」の成果である「人材養成モデル」を活用した人材育成の取り組み等を推進しています。
「県内企業人材養成モデル開発事業」を受託した企業では、新規学卒未内定者等を1年間雇用し、人材養成計画のもと、実務や訓練等が行われ、当所はそのサポートをしました。2カ年の実施により、44社で69名が採用されました。本誌では、この事業を活用して人材養成を実践した企業をシリーズでご紹介しています。
今回は、平成22年度に当事業を活用した株式会社ユーロ富山代表取締役社長の福島秀隆さんと、新規採用された営業部の藤井健さんにお話を伺いました。
BMW MINIは、世界で一番小さな高級車
株式会社ユーロ富山は、ローバーグループの正規ディーラー、アール・ジェイ富山販売株式会社として平成7年に設立されました。その後、同12年に株式会社ユーロ富山に社名を変更。同13年には、ビー・エム・ダブリュー株式会社とMINIの正規ディーラーとしての契約を結びました。
そして、日本では同14年に、それまでのMINIから大きく変貌を遂げたBMW MINIの販売がスタート。現在まで同社は、富山県下唯一のMINIの正規ディーラーとして、販売を手掛けています。
福島秀隆社長は、BMW MINIについて次のように語ります。
「それまでのMINIとBMW MINIの違いは、例えるならば、プロペラ機からジェット機に変わったようなもので、大きく進化しています。それも、性能だけでなく、安全性が飛躍的に高くなったことが一番の特徴です。BMWは元々高級車ブランドをつくってきた会社ですから、BMW MINIは、『世界で一番小さな高級車』をコンセプトに作られた車ですね。発売初年度で、日本では約1万台は売れました。世界でも一気に売れ、いまも安定して売れ続けている人気車です。MINIのファンは、世界はもちろん、日本にもたくさんいらっしゃいます。
現在もMINIは絶えず進化していますし、当社でも、これからのあらたな展開に向けて、増員を考えていました。そんなときにこの制度の存在を知り、応募することになったのです。
教育に関しては、BMWのCIによる徹底したブランドづくりのもと、BMWアカデミーでのディーラーの社員用教育プログラムが従来からあります。今回はそれと合わせて、人材養成モデル開発事業に取り組み、当社ならではの教育内容で、藤井君の営業マンとしての新人研修を行うことができました」
第一印象が何より重要
研修に当たって、最も重要視されたのが、お客さまとのコミュニケーションや社会人としての一般常識でした。製品の理解を深めると同時に、ロールプレイングを中心に、接客に重点を置いた研修が行われました。
「やはり、昔から変わらないフェースツーフェースが大事です。また、一般常識を知らないことが多く、ビジネスマナーなど、社会人としての基礎づくりに力を入れました」
MINIのファンの年代は幅広く、約6割は女性だと言います。女性の対応は特に難しく、第一印象が重要になってくると福島社長は語ります。
「女性の場合は、最初のアプローチで、感じがいいなとか、嫌いだなといった印象で決まってしまいます。最初からMINIを買うと決めてご来店されるお客さまが多いですから、自分と合わない営業マンに会ったときには、その期待とのギャップが大きくなってしまうんです。
また、当社では一人で二役も三役もこなせるような人材を求めていますから、そういった面での研修も進めていきました」
コミュニケーションや社会人としてのマナー、車の知識、そして、商談の進め方などのほか、保険や査定などの資格取得などの実務面も含めた研修が行われました。
藤井さんはビジネスマナーでは、敬語や言葉遣いなど、間違って覚えていたことを改めて勉強し直すことができて良かったと振り返ります。
「第一印象が悪ければ、それを覆そうとしても後からは難しいものです。先輩とロールプレーイングしながら、言葉遣いを覚えていくことができて良かったですね。また、最初の頃は、緊張してガチガチだったのですが、練習することで、前よりも笑顔になっていけたと思います」
営業の大事なポイントは、一方的に情報を伝えることではなく、お客さまの要望を上手に聞き出すことだと言います。
「お客さまはどういう思いで、何がいま問題になっているのか、それを伺うことで、こちらは様々な対応が可能になります。心を開いていただくのが一番大事なことなんですよ」と語る福島社長。
藤井さんも、ちょっとした会話から、お客さまが何を一番求めているのかというニーズの把握に努めていきました。藤井さんは平成22年4月に採用され、入社早々の5月には、なんと2台の成約に成功しています。
「これはなかなかできないことで、彼は非常に恵まれていますね」と話す福島社長。研修の成果が、確かに表れた結果ではないでしょうか。
間もなく新工場が完成。ショールームも新しく。
同社の新工場が間もなく完成し、ショールームも改装して新しくなります。福島社長はその思いを次のように語ります。
「MINIを愛する多くのお客さまのためにも、より良い整備と気持ちよくご来店いただける環境を整えます。プレミアムカーとしてのMINIは、ただの移動手段ではなく、まさに自分のライフスタイルを表現するもの。MINIのオープンカーに乗って以来、私自身の人生観も変わったほどです。
ご自身のポリシーを表現したい方にぴったりの車ですから、乗ったときの楽しさを、ぜひ、多くの方に味わっていただけたらと思います」
藤井さんも、「研修を通して、さまざまな貴重な経験をすることができました。それを活かし、今後もMINIの良さを、どんどん伝えていきたいですね」
家族を大切にし、人として誠実に、普通の生活を送ることが大切だと、日頃から社員に語っていると言う福島社長。人としての信頼感を礎に、MINIの進化とともに、同社もさらに、発展を遂げようとしています。