夢ひらく

夢ひらく〉有限会社 中村漆器店(2022年12月号) 仏具・漆器販売・修理

有限会社 中村漆器店(2022年12月号) 仏具・漆器販売・修理

~ 古い仏具や漆器、掛け軸を往事の姿に ~    

今回は昭和3年創業の有限会社中村漆器店さんです。代表取締役の中村秀樹さんは、祖父・秀雄さんの代から続く三代目です。「もったいない」の精神をモットーに寺院の古くなった仏具、漆器、掛軸などを修繕して往事の姿を取り戻します。出町子供歌舞伎曳山車祭で使う曳山の修復も担い、地域活動にも積極的に参加しておられます。

 

修理業に尽力する中村さんですが、父・秀一さんの代までは企画・販売が主な業務でした。秀一さんは漆器店の傍ら郵政業にも貢献し、平成25年に黄綬褒章を授与されました。幼い頃から父に「やりたい事をやってみろ」と言われた中村さんは高校卒業後、東京の青山学院大学に進学しました。都内で美術品を扱う会社などに勤めましたが、頭の片隅で家業を気に掛けていたのだそうです。熟考の末、砺波に戻ったのは平成14年、中村さんが44歳の時でした。

 

25年振りの故郷は昔と違って見えました。「浦島太郎の気分です。会社を継いだのは失敗だったかなとも思いましたよ(笑)」。街中は閑散として漆器が簡単に売れる時代ではありませんでした。窮地を脱する為、中村さんが始めたのが寺院への営業です。古刹には優れた仏具や漆器、掛軸などが多数眠っていましたが、その殆どが長年の使用で本来の輝きを失っていました。そこで「作るのではなく、あるものを生かす」「長年の伝手を頼りに修復プロデュースする」という父とは異なる戦略が生まれました。経営方針の相違から父はライバルへと変わりました。「営業で成果が出ないと『ガソリン代まき散らして何している』と叱られましてね」。一方、父は帰宅が遅い中村さんをいつも店内で待っていました。厳しさの中に垣間見える父の優しさに触れ「このやり方で絶対に成果を出すぞ!と決意しました」と話して下さいました。

 

取材の間に「金継(きんつ)ぎ」について教えて頂きました。陶磁器の破損部分を漆で接着した後、金粉などで美しく景色を創る技法です。「傷つく事で新たな味わいが生まれる。人生も同じだと思うんですよ」。中村さんが追い求める「もったいない」の精神は、奥深い哲学に満ちていました。

 

営業時間 9:30~18:00
定休日 日曜、祝日


事業所名: 有限会社 中村漆器店
代表者: 代表取締役 中村 秀樹
所在地: 〒939-1368 砺波市本町6番1号
TEL: 0763-32-2415
FAX: 0763-33-2271

ホームページ:http://nakamura-shikki.com/