〉夢ひらく〉株式会社熊野製作所(1999年2・3月号)機械金属加工
オリジナル新商品を開発
スキーといえば、昨年長野オリンピックでの日本人選手の活躍が記憶に新しい。冬のスポーツの定番であり、夏秋のスキー場といえば、一部ラベンダーやコスモス畑になっているところもあるが、たいていは寂しげなものである。雪がなくてもスキーを楽しみたいと考える人は多勢いる。また近年のアウトドアブームと相俟ってグラススキーの愛好者が増えているとのことだ。そこに着目し、サマースキーを製品化したのが、(株)熊野製作所である。九州で特に流行していたが本場の北国でもさかんにするにはスキー場や行政との協力が今後重要になってくる。また学校等とも協力して販路を拡大してゆきたいと社長の熊野澄夫氏は話される。
社長さんへの Q & A
Q.現在に至るまでの経緯をお聞かせ下さい。
A.サッシメーカー勤務後、第2次オイルショック期の昭和55年に独立開業しました。
ステンレス加工や三協アルミさんのビル用のカーテンボックスやサッシの
下レールのスチール加工を扱っております。
昭和63年に法人化して株式会社熊野製作所となり、平成2年10月に現在地の苗加に工場を新築移転しました。
独立したときは妻とはじめたのですが、徐々に従業員も増え現在は33名になりました。
Q.事業内容をお聞かせ下さい。
A.ステンレスやスチール材の切断、曲げ、溶接等の加工、アルミ板のパンチング、産業機械のカバー等を製作しています。
Q.貴社の製品はどのような物に利用されていますか。
A.住宅の出窓の屋根や底板、ビルサッシの下レール、産業状機械用カバーなどに使われています。
Q.業績をのばすための貴社だけの独自のアイデイはありますか。
A.新製品の開発、サマースキーや煙が出ない償却炉、
段差があってもスムーズに転がる台車等を今まで考案しました。
そのようなオリジナル品を開発することです。
そして、品質重視、納期厳守というごくごく当たり前のことをしっかりと行うこと、それにより熊野に頼めば大丈夫という信頼が得られると思います。
Q.セールスポイントは?
A.先に述べましたが、新商品の開発に挑戦する気持ちです。
ただ営業部門が弱いため販路開拓には苦労していますが。
Q.効率アップのためにしていることは?
A.年に1度は工場内のレイアウトを変更することにしています。
恒例に行うことにより、従業員が作業しやすいレイアウトを日頃より考えるようになっています。
万一それによって作業効率が落ちたとしてもそこに反省がありますので次回以降に生かすよう従業員が意識することが大切だと思います。
Q.パートナーにしたい企業はありますか。
A.外注先で特殊技術を有するところとお付合いしたいです。
この仕事ならあそこにまかせられるという先です。
当社にも当社なりの技術がありますので逆に仕事を紹介していただけることもありますから。
Q.中小企業にとって生き残る方法をお聞かせ下さい。
A.新しいものに挑戦する気持ち、今何を作ればいいのかを真剣に考えること、付加価値を高めるには何をすればいいのかを考えることだと考えます。
Q.会社にとって大切なものは何ですか。
A.信頼です。そのためには質のいいものを作ること、納期を守ること、約束を守ることが信頼を築いていくことに繋がります。
Q.最後に今後の目標や夢はどのようなことですか。
A.平成2年に現在地に移転、6年に増設しましたが、もう1棟工場を新築して板金部門、機械部門と分けて作業できるようにしたいです。
またオリジナル商品を開発しメーカーとして熊野ブランドを広げていきたいですね。
バブル期からの景気は良すぎた。今が当たり前だと話される社長さん。
この景況で堪えうるよう足元を固めておくことが大切だと仰られるが、今度は何を開発しようかとまだまだ挑戦者のように目を輝かせておられる。