〉夢ひらく〉株式会社ニッポー(1999年4月号)梱包資材製造
あらゆる面で梱包をサポート
「梱包」と聞いて、素人が思い当たるのは段ボール、ガムテープ、袋類等々があるが、より運びやすい梱包方法は何か、効率化を図る梱包機、箱の大きさやテープの幅まであらゆる面での提案、サポートをするのが(株)ニッポーである。梱包資材のひとつであるロープの生産から起こった会社であるが、お客様の満足を追求していくと梱包に関する様々な資材を揃え、提案できなければならない。その結果として現在の当社の体制があると話される社長の小形香氏。穏やかな語り口であるが、しっかりと現況を見据えての分析からくる力強い主張が感じられる。
社長さんへの Q & A
Q.ニッポーという社名の由来を聞かせて下さい。
A.日本海側での梱包ということで当初、日本海梱包工業という社名で創業しましたが、その頭と最後の字をとってニッポーというブランドで仕事をしていました。それが由来となって平成4年に社名変更しました。
Q.現在に至るまでの経緯をお聞かせ下さい。
A.この地区では農業者の副業としてわらを撚って縄を作ることが行われていました。しかし、農業機械の進歩とともにコンバインで稲を刈るようになって原料のわらが少なくなり、それまでのように縄が生産できなくなっていました。わらに代わるものということでポリプロピレンのフィルムを材料として縄(ロープ)を製造しはじめました。それが当社のはじまりです。農林水産業で利用される資材として需要が増えました。また、大阪万博の頃に手提げのペーパーバッグが広まり、その持ち手の紐の生産に取り組みました。顧客のニーズに対応すべく、梱包に関わる自動結束、製袋用ひも、梱包機、テープ類を取り扱うようになり、トータルパッケージの総合プランナーとして現在の事業に取り組んでおります。
Q.事業内容をお聞かせ下さい。
A.当社の商品として3つの柱を考えています。ひとつは、農業、林業、水産業で使われているロープやポリひもの製造、2つめはペーパーバッグの持ち手に利用されるカットロープ、3本目は梱包関連の総合プランナーとしてテープ類、梱包機や結束機の提案、販売も行っています。
Q.貴社の製品はどのような物に利用されていますか。
A.一般の方の身近なものとしては、お買い物された時、品物を入れる紙バッグの持ち手の紐があります。この紐にしても太さや色、艶消し風の素材やテープ式のもの等いろいろなものがあります。それから農業や園芸で野菜なんかを縛ってある紐もあります。面白いものでは神社のしめ縄もあるんですよ。
Q.業績をのばすための貴社だけの独自のアイデイはありますか。
A.梱包に関するあらゆるニーズに対応する体制づくりをしていることです。それによりお客様に様々な提案ができます。そのことが他の商品の受注につながることもあるんです。ロープだけでなく、梱包に関する種々の対応ができることが当社のセールスポイントです。
Q.効率アップのためにしていることは?
A.製造工程の自動化、制御装置などを数字的に効率化が認められるものについては積極的に導入しています。ただ、人の手が優れている部分については手作業は残していますが。
Q.パートナーにしたい企業はありますか。
A.繊維関連やプラスチックの成形の方とタイアップして新商品の開発をしています。例えば結婚式の引出物の袋の持ち手なんかはそうして作られたものです。それから工業試験場。様々なテストデータを得ることができます。
Q.中小企業にとって生き残る方法をお聞かせ下さい。
A.大手にできないことをやる。すき間商品を開発することがまず考えられます。付加価値の高いもの、我々の業界でいうと手作りの妙味といいますか、職人芸の分野に取り組むことも大切です。そしてスピードある対応、大企業だと会議だ稟議だとかで時間がかかることが結構あります。やろうと決めたらすぐに動ける機敏性も大切ですね。
Q.会社にとって大切なものは何ですか。
A.人材です。そしてチームワーク。社員も会社としても夢をもつことだと思います。
Q.最後に今後の目標や夢はどのようなことですか。
A.当社の商品は消耗品です。使われた後は廃棄されます。昨今はダイオキシンや環境ホルモン、ゴミ処理など環境問題が大きなテーマです。地球に優しい製品を提供することがメーカーとしての責務だと思っています。もちろん皆さんが取り組んでおられることですが、現状ではコストがかかりすぎであったり、かかるが故に取り組みがおろそかになっていることもあります。この問題に、価格も含めて対処するのが目標です。
同業者は数的にはそう多くないが、それでも淘汰されていったメーカーもある。消費者サイドに立った製品づくりをしないメーカーはつぶされていくと淡々と仰られた社長さん。ソフトな中に強い意志が漂っている企業である。
■商号:株式会社 ニッポー
■連絡先:TEL 0763-33-5273(代)
■FAX:0763-33-5275
■本社事業所:富山県砺波市鹿島251番地
■創業:昭和42年7月
■資本金:1,000万円
■代表者:取締役社長 小形 純一郎
■従業員:男10人 女3人