会報「商工とやま」平成23年1月号

新春特別寄稿
 元気がでる12のメッセージ【第一部】想いをビジネスに


 厳しい経済情勢を乗り越えようと、約5800の当所会員の皆さまが必死に頑張っておられます。
 当所は、そうした皆さまを応援したい、そんな想いを込めて、本誌では様々な分野でご活躍の皆さまよりご寄稿いただきました。
 会員の皆さま一人ひとりが元気に、明るく、前向きになっていただき、富山のあちらこちらで新しい活力が芽生え、成長する一年でありますよう祈念いたします。


1回の口腔ケアでイイ顔が…     (株)TeethAi 代表取締役社長 精田紀代美


 私は、歯科衛生士として30年富山県に奉職したのですが、50歳で退職し、現場で生涯従事できる仕事をしたい願望が強く、平成13年に「歯ぶらし屋」さんを自宅の立山町で開店しました。

 半年程経過した時のことです。ある歯科医院から「歯のみがき方を指導してもらって来なさい、と言われた」と20歳代の女性が来店されたのです。当店は雑貨を扱う店であることから、「歯みがき指導」はできないことを告げたのですが、歯科医院からの紹介で来店されたこともあり、このまま帰ってもらうことは、先生にも失礼かと思い、指導はせずに直接歯ぶらしだけでみがいてあげたのです。3分程度の時間で女性の歯と口をキレイにしてあげた直後、「やっと正しい歯のみがき方が解りました!」と、感動した初体験を述べられたのです。


◆1000人の歯をみがいて実証

 歯科衛生士現役の30年間は「指導」と言う概念しかありませんでしたが、この時に、言葉で指導をしなくても、その人に直接みがいてあげる方が「正しい歯のみがき方が解るのだ!」と、また、「これはビジネスになるかも!」と思いました。

 実際に歯をみがいてあげた方がより早く解ることを実証するため、歯ぶらし1000本を購入しました。1000人の歯をみがいてから「歯みがき屋」さんを開店しようと思ったのです。県内の婦人会や自治体にDMを郵送し、幼児から学童、高校生、元気高齢者、寝たきりの方などを1年半かけてみがいて回りました。

 その後、平成15年8月、富山市内に「歯みがきサロン」を開店。平成18年に国の介護予防の柱に「口腔ケア」が導入されたことで、事業展開できる引き金にもなり、今では、年間1000人以上の高齢者のお口をキレイにして回っています。


◆口腔内の「臓器ツボマッサージ」

 何と言っても一番人気は「臓器のツボのマッサージ」です。口腔内全体には東洋医学に基づいた、40個の臓器のツボがあります。足裏にツボがあることは足裏マッサージなどの経験から、そのリラクゼーション効果を実感されていると思いますが、口腔内の臓器のツボマッサージは、足裏より、早い効果が得られるのです。

 このマッサージを1回、30分程度施術すると、誰もが1回でイイ顔を作れます。今までに誰もが経験したことがない特殊な「マッサージ法」です。


◆バイ菌の少ない唾液で健康を保つ

 さて、数年前にWHOからこんな指摘がありました。日本人は先進国の中で最も歯をみがく国民ですが、むし歯も歯周病も減らない国だとレッテルを貼られたのです。フィンランドでは小学生の学校給食後にキシリトールのガムを1個噛んで、むし歯菌を口の中で減らして世界で1番12歳のむし歯を0本にしたのです。その後、日本でも介護予防をキッカケに「お口の菌を減らす」ことを「口腔ケア」と言う言葉で最初に掲げたのです。

 私は口腔ケアの元祖は明治時代に根付いていたと思います。代表的な方が、「きんさん ぎんさん」です。100歳の誕生日にTVで「何でも美味しい」と発言されていましたね。きんさんぎんさんの口が実はとてもキレイであったことを確認された長野の歯医者さんから聞きました。特に毎朝起きて直ぐに舌の掃除をされていたのです。明治まであった習慣が大正・昭和・平成からは、歯を磨くことに専念し過ぎた嫌いが日本に根付いたようです。朝起きた直後は一日で一番、口の細菌が多く、舌掃除だけで70%の細菌が排除できると言われています。

 このことを教訓に県内のある高齢者の集まりで、5年間継続して口腔ケアをしています。ある方が、3回目のケアで、お酒が美味しいと言われ、やはり、元気の基は、キレイでバイ菌の少ない唾液が健康を保つと思います。

 「ぴんぴんころり」と言う言葉もありますが、日本で初めて起業したこの業態を、全国に展開しようと、昨年から同志を集めて、アカデミーを開催しました。近い将来、全国に「歯みがきサロン」が展開でき、国民の健康意識が高まり、健康で高齢者が生き活き長生きできることを望んでいます。

●精田紀代美(せいだ・きよみ)
昭和25年南砺市(旧城端町)生まれ。石川歯科衛生士専門学校卒業後、歯科医院、富山県富山保健所、富山県厚生部健康課勤務を経て、平成13年に「8020プロ企画」を設立。平成15年に「TeethAi」を開店し、平成22年に法人化。平成21年には「オーラルキャリアアカデミー・ジャパン」を開校。平成16年よりS富山県歯科衛生士会会長。富山医師会看護専門学校や富山短期大学福祉課程などの非常勤講師等を務めるほか、幼児〜高齢者、在宅介護者などを対象に幅広く講演・普及活動を行っている。歯科衛生士。
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若手起業家が見つめる富山の未来     (株)Learn Put(ランプット) 代表取締役 平木柳太郎


 平成21年2月1日、富山市で会社勤めをしていた私は、ブログを書き始めました。その名も【富山・北陸セミナー普及物語】。そこには明確な目的がありました。「セミナーを通して成長の機会を得たい、学び合う仲間と出会いたいと願う人が必ずいるはず。自ら情報を発信することで、未来の富山を担う元気な人のために、学びのプラットフォームを生み出そう!」…平成22年1月、その想いを乗せて、学びのインプットとアウトプットを支援する株式会社Learn Putが大きく動き始めました。


◆富山と東京、その差は「大人の教育」?

 富山高校在学時、私の頭には「何のために勉強しなければならないのか」という、現実逃避にも似た迷いがありました。答えは出ないまま、東京学芸大学へ進学し、国際教育を専攻。世界の教育システムや生涯学習の取り組みを研究しました。そして大人に学習の機会を提供するポータルサイト【セミナーズ】を運営するラーニングエッジ社で1年間のインターンシップを経験しました。東京のビジネス速度を体感しながら、セミナーという学習の場が数多く存在することに気付きました。その1年間で150本を越えるセミナーに参加し、会社帰りや休日の時間を自己投資に費やす大人の姿を見ているうちに、高校時代の迷いは「何のために教育があるのか」という私の人生におけるテーマへと転換していました。

 富山にUターン就職して1年半が過ぎた頃、自らのライフスタイルを見直し、東京でセミナーに参加する大人の姿に憧れた自分が、仕事帰りや休日を使って学ぶ機会を得ていないことに気付き、富山でのセミナー発掘が始まりました。間もなく、経営者向けのセミナーは用意されていても、会社員や大学生が参加できるセミナーがほとんど普及していないと分かりました。

 確かに東京には優秀な人が集い、広く活躍の場が得られますが、それだけではありません。成長意欲の高い人には、社外にもセミナーや交流会などの学び合う場が幅広く用意されています。一方、富山では学ぶ意欲のある大人に対して、学ぶ場の選択肢がほとんどありません。もちろん職場での学びが最も必要ですが、社員が依存していてはいけません。富山と東京、ビジネスで大きな差が生まれる原因は「大人の教育」の環境にもあるのではないか。その仮説を確信に変えるため、ブログ【富山・北陸セミナー普及物語】が、まさに富山でセミナーを普及させる男の物語の第一章として始まりました。


◆社会起業家という選択

 セミナーという大人が学ぶ場・プラットフォームを提供することで、元気な大人同士が学び・高め合い、眠っている富山の底力が発揮される社会の実現に繋がる。その明確なビジョンのもとで、平成22年1月より株式会社LearnPut(ランプット)は事業を開始しました。「富山でセミナービジネスは成功しない」という助言を多くいただきながらも、強い目的意識と明確な目標があることで、社会起業家として独立に踏み切りました。

 セミナールームを兼ねた交流スペースである【ポエシア・ブランカ】の運営から始まった物語の第二章は、予想を越えるスピードで加速していきました。そのキッカケとなったのは平成22年3月4日に開催された、経済産業省が主催する「ソーシャルビジネス・メッセ 〜世界を変える70のストーリー〜」への出展でした。東海・北陸コミュニティビジネス推進協議会の世話人である石橋孝史氏の応援もあり、全国を代表するソーシャルビジネス=社会起業家が集う場で、富山での取り組みを広く知って頂く機会を得ました。ビジネスを継続させるために収益性の高いモデルを生み出すことも必要と認識しながら、社会の問題解決に繋がる事業を生み出すことへの執着心を持ち続けるのが社会起業家です。地元・富山はもちろん、私たちの住む日本や地球、もしくは宇宙には何が必要なのか、今も答えを探し続けています。


◆私たちは皆、人生の経営者である

 企業規模を問わず、経営者は「社員にも経営意識を持ってほしい」と願うでしょう。そんな経営者の皆さまにお願いです。社員の「もっと良くなりたい」「理想とする自分に近づきたい」という潜在ニーズを応援してほしいのです。富山では自己投資の概念が根付いていないため、社員が自分自身の将来に向けて時間やお金を使うことに慣れていません。最も情報が集まるのは経営者です。様々な機会を、社員への生きるヒントとして後押ししてください。そうすることで、現状を打開する新たな一歩が見つかるはずです。

 新たな挑戦をするためには、はじめの一歩がとても重く感じられますが、私たちは【人生の経営者】として、一歩ずつでも現在の自分を越えていく必要があります。平成23年、セミナーや交流会が、経営者はもちろん、社員や学生にとっても「はじめの一歩」となることを願っています。

●平木柳太郎(ひらき・りゅうたろう)
昭和59年富山市生まれ。常盤台保育園、藤ノ木小学校・中学校、富山高校理数科、東京学芸大学国際教育専攻卒。富山へUターン就職後、県内本社企業2社に勤務。
株式会社LearnPut代表取締役に就任し、平成22年1月より事業開始。富山本物研究所・最年少会員。
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