会報「商工とやま」平成23年1月号

新春特別寄稿
 元気がでる12のメッセージ【第4部】企業力をUP


企業の採用力をあげるには   (株)R09(アールナイン)代表取締役社長 長井  亮


 皆さんは採用にどれだけのお金と時間をかけておりますでしょうか?

 会社の成長は社員で決まると言っても過言ではありません。社長がいなくても大丈夫な仕組みや状況をどのように作り出すか?それが事業の発展に関わってきます。その仕組みを作り出すためには、やはり社員が重要なのです。会社を支える社員の採用において、時間やお金を意外にかけていないというのが実情です。時間もお金も無限ではありません。だからこそ、それらを極力かけず採用をうまく行う方法を考えることが必要です。そのためにはどうしたら良いでしょうか?


◆楽しそうに働いている姿に魅力

 人が会社を辞め、転職をするときの理由は何でしょうか?就職会社がいろいろデータを出していますが、その殆どが「キャリアアップのため」や「会社の将来性が不安」としております。しかしそれらのデータは建前であって、本音は違うところにあります。どうしてもそういったアンケートを取ると、建前で言いたくなるものです。そこで弊社が独自に「転職の本音の本音の本音」ということで、突っ込んで聞いてみたところ、なんと8割が「人間関係」と答えました。給与や労働条件ではないのです。逆に人間関係が良ければ、給与などが悪くても頑張ることが出来ると言っております。社員の殆どは実は「人間関係」を大事に働いているのです。

 新卒の企業選びも特徴的です。就職先の企業を最初に志望する時は大手の企業か、知っている企業かなどで選びますが、実際に意思決定をする時、多くの人が「俗人的なもの」で選んでいます。 なぜその企業にしたのか決め手を聞いてみると「働いている方がとても楽しそうだった」という意見が多く、いかに魅力的な人が働いているかが、企業を選ぶポイントとなっています。


◆主役になって、モチベーションがあがる

 このことから働く社員が魅力的であればあるほど、良い「人間関係」が生まれ採用力が高い状態になるということが言えます。また魅力的な社員がいれば、辞める社員も減り、一石二鳥となります。では魅力的な社員を増やすためにはどうすれば良いでしょうか?

 そこでお奨めしたい方法は「社員を主役にする」ということです。社員一人ひとりを主役にし、輝かせる状態にするのです。社員が輝くことで、モチベーションも高まり、外からも魅力的に映ります。

 社員を主役にする方法は2つあります。

 (1)社員を採用の場に出す
 (2)ホームページなどで活躍の場面を打ち出す。

 具体的に見ていきます。(1)について。通常面接の場には、社長や人事の方が出ると思います。社長は忙しい中、何とか時間を作って出ていると思いますが、その場面に社長だけでなく、人事とは関係のない社員を出すのです。面接など慣れていない部分もありますが、面接官として出ることによって『自分も人を選んでいる立場』という責任感が出てきます。当事者意識を持たせることができるのです。また面接の場では自社の魅力を伝えなければなりません。人は面白いもので、自社の魅力を伝えていくうちにどんどん会社のことが好きになっていきます。自社のことを好きになれば、仕事に対して誇りも出てきます。仕事の誇りが出てくれば、生き生きと働くことができ、外部からは魅力的な人に見えていきます。それを更に加速させるのがAです。自社の魅力を語る場をホームページ上で行います。社員を格好良く撮影し、ホームページ上に打ち出せば、出された本人は会社の顔という意識が芽生えて、モチベーションが上がっていきます。先ほどと同様に会社や仕事に誇りが出てきて、働くことが楽しくなり、外部の方にもその楽しさが伝わります。すると会社としての魅力が高まっていくのです。

 採用力をあげるには時間とお金がかかります。どうせ同じだけ時間とお金をかけるなら、採用と同時に、社員や会社が成長できる方法を選んだほうが良いと思います。

 ぜひ活用して頂ければと思います。

●長井 亮(ながい・りょう)
富山県生まれ。平成11年青山学院大学経済学部卒業。(株)リクルートエイブリック(現リクルートエージェント)に入社。新しい営業手法などを生み出しトップセールスとして活躍後、同社史上最年少で支社長となり、支社のマネジメントを行う。
その後、(株)リクルートへの出向を経て、新規事業の立ち上げに携わる。平成21年に同社退職後、株式会社アールナインを設立。企業研修や人事・教育コンサルティングを行いながら、その傍ら、学生の就職活動支援を行う。これまでに1、200社を超える経営者・採用担当者の相談や、5、000人を超える就職・転職の相談実績を持つ。
現在は、大学での講演や、全国で学生・ビジネスパーソン、また経営者を対象に、年間約200回のキャリア・採用に関する講演、セミナーを行う。
著書に「会社では教えてくれない仕事のルール」がある。
株式会社R09(アールナイン)代表取締役社長
北陸学院短期大学部非常勤講師
ドリームゲートアドバイザー
▼URL



保障内容の確認のおすすめ アクサ生命保険M富山支社 支社長 飯泉 貴史


 保険と名の付く数ある種類の中で、生命保険は割りと耳にする言葉ではないでしょうか。日本における生命保険の世帯加入率は90%超。一世帯当たりの年間支払保険料は約45万円となっています。(※1)

 生命保険がここまで浸透しているのには、これまでの戦後の日本の経済成長を支えてきた日本独特な社会構造が起因していると言われてきました。欧米に遅れて導入された生命保険が爆発的に普及したのは1960年代。給与所得者が増え、一家の大黒柱である稼ぎ手の夫に、万一のことがあった場合に備えた家族の生活保障が最重要だった時代です。

 その状況にここ数年変化が見られます。女性の社会進出がますます進み、扶養する子供の数も減り、手厚かったはずの公的医療保険や公的年金制度が揺らいでいる中、どちらかというと高額の死亡保障に偏っていたリスク対策が、自助努力によるT生きるためのリスク対策UそしてTゆとりある生活を実現するための資金準備Uに移り変わってきています。

 例えば、生命保険文化センターの平成21年度「生命保険に関する全国実態調査」の直近加入契約(民保)の加入目的では、1位「医療費や入院費のため」59・7%、2位「万一のときの家族の生活保障のため」53・8%となっています。1位と2位は平成15年度の調査で逆転し、以降の調査のたびにその差は広がっています。

 また、同じく生命保険文化センターの平成19年度「生活保障に関する調査」によると、公的医療保険の給付内容に対する評価は、「充実している」「どちらかといえば充実している」合わせて21・8%ととても低い数値となっています。


◆ライフステージに合わせて変化

 生命保険は死亡や病気、ケガなどに備えるセーフティーネットの機能を持っています。ですから個人のライフステージによって、そのセーフティーネットの必要性や重点が変わってきます。一般的なリスクとして、「死亡」「医療」「老後」「介護」の4つが挙げられますが、4つのうちの3つがT生きるためのリスク対策Uです。

 さて、ここで質問ですが、現在ご加入されている生命保険は、4つのうちどこの部分をカバーしていますか。私たちは仕事柄、お客様の保険証券をお預かりし、保障内容やリスクの分析をさせていただく機会があるのですが、リスク分散がされずに4つのうちの1つだけに極端に保障内容が偏り過ぎているのでは、というケースが散見されます。

 必要なときに必要な保障が受けられなければ、セーフティーネットとしての機能が果せなくなります。次の点についてもチェックをされてみて下さい。

□保険料は総額でいくらお支払いすることになるか把握してあるか。
□保険料の支払い期間は何歳までなのか。また、保障期間は何歳までなのか。
□保険金額がある一定の年齢から急激に下がることはないか。
□病気やケガで入院したときの保障は一生涯保障になっているのか。
□老後生活資金の準備に活用できる保険なのか。


◆企業で契約する保険を有効活用

 また、企業が契約者となりご加入する生命保険は、「事業保障資金の確保」「役員退職慰労金の準備」「福利厚生制度の充実」「相続・事業承継対策」等々、多種多様なニーズからご加入されていると思います。

 企業がご加入する生命保険については、次の点をチェックされてみて下さい。

□事業保障資金、退職慰労金準備等、加入目的にあった保障内容となっているか。
□加入当初から加入目的の変更はないか。
□役員勇退予測年齢時の解約払いもどし金額を把握してあるか。
□役員の方のご勇退時が未定の場合、保障期間は長めに設定されているか。
□同じタイプの生命保険に複数ご契約されていないか。

 個人には個人の、企業には企業の描いているデザインがあります。T夢の実現Uに向けて、ご加入の生命保険を有効活用できるよう、もう一度保障内容をご確認されてみてはいかがですか。

(※1)参考資料:生命保険文化センター 平成21年度「生命保険に関する全国実態調査」

●飯泉貴史(いいずみ・たかし)
アクサ生命保険M富山支社長。
CFP・1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
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